肘の痛み
テニス肘
テニス肘とは
テニス肘とは、手首に負担がかかる際に肘の外側から前腕に痛みが生じる疾患で、「上腕骨外側上顆炎」とも呼ばれます。
テニス肘の症状
手首を背屈した際に肘の外側に痛みが生じることが特徴です。
荷物を持ち上げたり、日常生活での動作でも痛みを伴うことがあります。痛みは徐々に悪化する傾向にありますが、急激に現れる場合もあります。
テニス肘の原因
テニスやバドミントンなどのスポーツ(バックハンドの繰り返し動作)が主な原因ですが、日常生活や仕事の動作によっても発症することがあります。加齢による筋力の低下や肘の腱の強度の低下も影響します。
テニス肘の治療方法
治療は、消炎鎮痛薬や理学療法で痛みを抑えます。装具療法などで安静を保ち、症状が落ち着くまでは負担のかかる活動を避けることが重要です。リハビリテーションも効果的で、ストレッチや筋力トレーニングなどを行います。必要に応じてテーピングなどの処置も行われます。
肘部管症候群
肘部管症候群とは
肘(ひじ)の内側にある尺骨神経の通り道(肘部管)で尺骨神経が圧迫,牽引されることにより、小指側の麻痺やしびれ、手指の運動障害を引き起こす神経の障害です。
肘部管症候群の症状
尺骨神経は手の小指側の感覚と手指の筋肉を動かす神経です。神経障害の度合いによって症状は異なります。
まず、肘から薬指、小指にかけてのしびれや痛みを感じます。進行すると手の筋肉がやせて、小指と薬指の変形が生じます。次第に小指と薬指が完全には伸ばせなくなり、指をそろえられない、小銭が掴みづらい、箸が使いづらい、といった症状がみられます。また、薬指・小指が曲がったままの状態に変形する鷲手(わして)という尺骨神経麻痺に特徴的な姿勢をとります。
肘部管症候群の原因
肘部管で尺骨神経が圧迫されたり、引き伸ばされたりすることで発症します。
慢性的に肘に負荷がかかること、外傷、変形性関節症、尺骨神経脱臼、ガングリオンなどの腫瘍、こどもの時の骨折による肘の変形、関節リウマチなどの疾患が原因となります。
肘部管症候群の治療方法
保存療法
症状が軽度の場合には、保存療法を行います。肘の安静、ビタミンB12の内服の他、物理療法、炎症を鎮めるためにステロイドの注射を行うこともあります。
手術療法
筋力が低下して日常生活に支障がある場合には、手術を検討します。原因となっている靭帯などの切離、腫瘤の切除、神経を圧迫の少ない部位に移行させる手術などを行います。
肘内障
肘内障とは
肘内障(ちゅうないしょう)は、肘の輪状靭帯と橈骨頭が部分的にはずれる状態(亜脱臼)を指します。特に歩き始めから小学校入学前の子供に見られます。通常は徒手整復術によって治療されますが、治療後は再発しやすいため、注意が必要です。
肘内障の症状
急に肘が痛くなり、腕が挙がらなくなります。親が子供の手を引っ張った後に動かなくなった場合、肘内障を疑います。
肘内障の原因
子供の関節は成長途中であり、特に肘の周囲の靭帯は柔らかく、骨との結合も大人に比べて緩やかです。そのため、わずかな力が加わるだけで関節がずれやすくなっています。
特に次のような行動に注意が必要です。
- 急に力強く手を引っ張ること
- 転倒時に手をつくこと
- 腕を激しく振り回すような遊び
親が子供を急いで引っ張り上げたり、手をつかんで急に引っ張ったりすることは日常的に行われることですが、特にこれらの行動が原因となることが多いです。
肘内障の治療方法
骨折がない場合は、整復操作を行い、小さな整復音と共に元の位置に戻します。元に戻った後も痛みが残る場合は、再度整復を試みることがあります。