変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、炎症や変形が起こり、膝に痛みが生じる疾患です。男女比は1：4であり、女性により多く見られます。この病気はロコモティブシンドローム（運動器症候群）の一因となり、国内において約1,000万人の人々が膝の痛みに悩まされています。

変形性膝関節症の症状

膝の腫れと痛みが主な症状です。初期段階では、椅子からの立ち上がりや歩き始めなどの動作時に痛みを感じます。中等度の場合、正座や階段の昇り降りなどでも痛みを感じることがあります。進行すると、夜間に痛みが生じることもあり、歩行が困難になります。

変形性膝関節症の原因

軟骨の摩耗は加齢によるものが主であり、肥満や遺伝的要因も関与しています。また、過去のけがや関節リウマチなどの疾患が原因となることもあります。

変形性膝関節症の治療方法

保存療法

日常生活の指導、痛みを和らげる薬や湿布、ヒアルロン酸などの関節内注射、足底板やサポーターを使用した装具療法があります。また、物理療法や筋力トレーニング、可動域訓練、歩行訓練などのリハビリテーションも効果的です。

手術療法

自覚症状が強く、日常生活に支障が大きい場合は手術が必要となります。手術方法は「膝周囲骨切り術」や「人工関節置換術」などがあり、下肢の状況や病気の進行度に応じて選択されます。

半月板損傷

半月板損傷とは

半月板は、膝関節内にある三日月型の板状組織であり、骨同士が摩擦せずスムーズな動きをサポートしています。膝は他の関節と異なり、骨を固定する筋肉がなく、その代わりに靭帯や軟部組織、腱が存在し、半月板はこれらを安定させます。

膝は単に曲げたり伸ばしたりするだけでなく、ねじりやすべりといった複雑な動きを行います。これらの動きを補助し、安定性を保つ役割を果たしている半月板は、加齢や外傷、長期間の負荷などによって損傷し、ひび割れたり摩耗したりします。

半月板損傷の症状

半月板損傷の典型的な症状には、膝の内側に痛みが現れることや、膝の動きで引っかかりや運動制限が見られることがあります。また、膝の屈伸時に異音が聞こえることや関節の腫れも現れます。症状が進行すると、関節内に水が溜まる関節水腫や大腿部筋肉の萎縮が見られることもあります。

半月板損傷の原因

半月板損傷は、スポーツでの急激な動きや長期間の負荷、加齢による変性によって引き起こされます。中高年者では、立ち上がりや膝を捻る動作が原因となることがよく見られます。

半月板損傷の治療方法

保存療法

初期治療としては、膝への負担を軽減するためにサポーターやテーピングを使用し、湿布や消炎鎮痛剤を用いて症状を緩和します。また、関節内注射や関節穿刺による水抜き、ヒアルロン酸注入なども行われます。手術を回避するため、保存的治療が優先されます。

手術療法

持続的な痛みや水がたまる症状がある場合は、手術が必要となることがあります。手術方法は損傷の程度や患者の状態に応じて半月板切除術や半月板縫合術などが選択されます。

オスグッド病

オスグッド病とは

オスグッド病は、太ももの前面に位置する大腿四頭筋が、未熟な膝のお皿の下の骨の一部（脛骨粗面）を過度に引っ張ることで、成長軟骨を剥離させてしまい、それに伴う痛みや腫れが生じる疾患です。

オスグッド病の症状

典型的な症状は、脛骨粗面が徐々に突出してきてそこに痛みが生じることです。痛みは活動時に増悪し、休息すると軽減しますが、スポーツなどを再開すると再発します。時には赤く腫れ、熱を持つこともあります。

オスグッド病の原因

骨の成長が急激な成長期において、特にスポーツなどで膝に負荷がかかる動作を繰り返すことが、この病気の原因となります。膝関節の屈曲を伴う動きによって大腿四頭筋の筋力が脛骨にかかり、成長軟骨が剥離することで生じます。

オスグッド病の治療方法

保存療法

運動後は、アイシングやももの前のストレッチを行います。アイシングでは、痛みのある部分を氷枕や氷嚢などで冷やし、痛みを和らげます。ストレッチは、座った状態で膝を深く曲げ、ももの前を伸ばす運動を行います。